はじめに
新卒~第二新卒までの病院管理栄養士の就活について、情報があんまりなく、手探りで活動しながら心細く思った経験があります。
なんとか新卒から憧れの病院管理栄養士として働けて今年転職もしたので、自分が病院管理栄養士になるまでに経験した就職活動・転職活動のあれこれをまとめます。*1
一度やってる最中に委託就活からまとめたことがあるのですが、メンタルダウンして途中経過までで辞めてしまいましたね。
なんかコロナ禍の臨場感と等身大な感じはあります。
大層なサムネイルにしてしまいましたがまだ社会人3年目だし、就活周りのあれこれが本当に苦手で手こずったので参考になるかは分かりません。でもこういうのは色んなケースの情報があった方がいいと思うので。反面教師としてでもよいです。
いろいろ書きますが、結局運とご縁だな!と思っているので、それをちょっとだけ自分側でコントロールしてみようという健気な取り組みです。
就活辛いですが、受かるまで続ければ必ず就けるので、そのトライアンドエラーの力になれれば幸いです。
新卒の病院就活
時期について
大体大3冬〜大学卒業直前までです。長いです。
グループ病院や大学病院など毎年新卒を(既卒も)採る病院であれば、一般企業と同じように夏ごろから遅くても秋には決まりますが*2、それ以外の病院は次年度の募集を始める時期がかなり遅いというかまちまちという印象です。
基本的ににカツカツの人員でないと採算がとれない&配置基準自体は少人数で満たせるので、
・欠員が出た際
・運営方法が変わる際(委託・直営)
・診療報酬が上がる見込みがある際
・病床が増える際(これも診療報酬が影響したりする)
などないとなかなか募集が出ません。
そしてこれらはそんなにたくさんは起こらないのと、時期が読めないというか新卒のスケジュールに合わせて行われるわけではないので、場合によっては国試の後や新年度(既卒資格持ちとしての挑戦)になることも。
また、求人がでても募集人数が1名や若干名のため落ちれば時期が伸びますね。*3
とはいえ、採用側も求職者が多い時期に募集を出した方が人材発掘や確保には有利なので、秋〜年内いっぱいは多くなる印象です。
私は12月にようやく内定をもらえました。
周りが続々と就活を終えて国試勉強に専念する中、オールシーズン用のペラペラスーツで面接に赴き、お祈りを受け取る日々はかなり辛いものがありました。*4
病院以外の第二志望について
直接的な言い方だと滑り止めです。先ほど長ければ国試後や年度明けになる方もいるかもと書きましたが、無職で4月を迎えるのは避けたいこと、メンタル維持のため、年明け就活を休んで国試に専念するためにも、どこかしら内定はあったほうがいいです。
私はこれを委託給食会社にしていましたが、今ならしないかなと思います。
委託絶対嫌だ!というわけではありません。仮に新卒1発目で別の職場でも、第二新卒や転職で、なるべく短期間・スムーズに病院に入職したいためです。
病院に何らかの形で携われればいい、まず給食経験をガッツリ積みたい、給与がいい方がいい(😂)、転職で数ステップ踏むのも良いという場合は別ですが、
「病院で(狭義の)*5栄養管理がしたい」
「栄養指導がしたい」
「管理の資格・知識を余すことなく使い切りたい」「認定資格取りたい!」
「NST(Nutrition Support Team)やりたい」「他の医療職種とのチーム医療に参画したい」
という場合、委託に行くとこれらに携わる時間はその会社にいる限りほぼなく*6、病院の経験者募集に応募できなかったりアピールしづらいだろうなと感じます。委託でも多少関われると思っていると、モチベーションが保てず早期離職に繋がることもなきにしもあらずです。
今なら、
・介護施設(栄養ケアマネジメントができる)
・クリニック(栄養指導ができる)※医療事務などの業務がメインの場合もそこそこあるようなのでなんとも言えませんが……。
・特定保健指導ができる機関(疾患のある方への指導ができる、枠が多いかな)
などを選ぼうかなと思っています。実際にそれで新卒就活やその後の転職活動をしたことがないので、実際その立場の人からやめとけ!って言われた場合はすみません。
次の病院の業態に関わらず栄養の分野にいる以上、給食経験は必ず役に立ちます(私はないことがややコンプレックスです。今一部だけ修行中です)。転職活動のやりやすさのお話でした。何が役に立つかは分からないので、今いる職場ではなんでも自分の一部にするつもりでいろんな業務や趣味の活動をしておこうと思いました。
私の求人の探し方
求人の探し方も、慣れるまでは難しかったです。
求人サイト
マイナビやリクナビ、その他求人サイトは一通り登録してパトロールしていましたが、どうやって検索避けしても委託給食会社や保育園、介護施設系が引っ掛かってきました。
あとは、そういったサイトは多くの方が利用、応募するので競争率が高いようです。
出会いの数は多い方がいいし、求人の良し悪しを見分ける目を養うために利用は必要かなと思います。
indeedは設定条件を保存してLINEに新着求人を飛ばせるので良かったです。
【新卒向け】グループ病院の新卒採用・学校の紹介
新卒はこれが1番安心でやりやすいかも。受ける仲間も就職後の同期も多いですし、OGの話も参考になります。
グループ病院は時期も夏頃なので安心です。私は3つほど受けて落ちました😌
独立行政法人地域医療推進機構(JCHO)は、コロナ禍でか管理栄養士の新卒採用は実施していませんでした。他の医療職種はやってたのに……。
学校のキャリアセンターや研究室経由の紹介も信頼できるし、時には推薦してもらえるので絶対に利用すべきです。新卒の特権です。大学入学時からこまめに相談していたらよかったな。
学校、研究室経由はいくつか受けて、
・国立→書類落ち(下にくわしく書きます。)
・民間法人①→応募辞退(研の同期は入職してました。)
・民間法人②→内定、入職
となりました。
私は研究室の先生に国立病院機構のインターンシップを組んでもらったり、推薦文を書いてもらったのですが残念ながら書類選考で不採用でした。ただ、新卒既卒一緒の採用機会であること(そもそも難易度高い?)、合格≠入職(まず採用の順番待ち名簿に登録され空きが出なければ働けない可能性がある)、転勤必至などがいろいろあったので、今考えると自分には合わなかったかな。人気は高いようです。
【第二新卒】エージェント
転職エージェントのメリット
- 応募書類の添削
- 面接対策
- 先方とのスケジュール調整をしてくれる
- 応募条件の交渉(経験年数の緩和など) これ3年以内に転職する場合かなりありがたい。
- 非公開求人の紹介 など
上手く使えればかなり心強そうです。
実際私も登録とやりとりはしましたが、担当者が酷かったので辞めて直接応募に切り替えました。
担当者、電話予定時刻忘れる、1つしか求人探してこない、「日程聞いてみるね!」って言って音信不通の3コンボかましてきて、挙げ句の果てには別の担当者複数名から数ヶ月後にお伺いSMSとセールスをされるという。*7担当者ガチャがあるようで、いい勉強になりました。
ここからは脳筋探索です。
日本病院会の病院一覧
日本病院会の会員一覧に、病院のホームページのリンクが大量に貼ってあるんですね。
そこを片っ端から開いて、採用情報に管理栄養士求人がないかパトロールする です。
大変だった!笑
ただ意外と効率は悪くないのと、出したての求人に応募できたり病院の雰囲気を知れたり、面接やキャリアのイメージができるようなキーワードにはたくさん出会えました。
地方ごとにまとまってるから便利だよ。ただ、会員じゃない病院もたくさんあるので、見落としは生じます。
そこで、
Googleマップで「病院」で検索する
これで非会員の病院の取りこぼしが減ります。笑
友達も結構やってた。通勤しやすさとかもわかるので良いです。
街中で病院を見かけた時も、サイト検索して採用情報を開くということもしてました。
この時の弊害で今もこれやります。病院ナンパ。
今の職場に不満があってもなくても、求人見てると今の自分の市場価値や今〜これからの人材・スキルのトレンドもわかるし必要かなと。
手こずった学生だった私の、新卒就活の反省
すごくすごく初歩的な見当違いですが、振り返ってここがよくなかったなと思うことが何点かあるのでまとめます。
・応募範囲広げすぎた
私はどうしても病院管理栄養士になりたかったので、候補地を関東全域に広げて見学や応募をしていました(なんなら、遠さ=やる気の表れくらいに思ってた)。
ですが、お金はかかるし時間もかかるし、見学やリサーチがしづらいこと、面接の際、志望動機との整合性を持たせられなかったこと(自分の力、思慮不足)などがあったのでむしろ苦戦した部分がありました。
採用されれば年単位で過ごすことになるので、立地は大切です。
・病院分析が甘かった
病床数、委託か、直営かや、NSTがあるかは見ていたのですが、栄養部門のページ以外の
診療科(循環器、透析、糖尿病など栄養管理や加算の対象疾患が多いか)、体制、勤務時間、領域(高度急性期、急性期、回復期、地域包括ケア、慢性期、療養など)は調べが甘く、志望動機や面接対策がガバガバだったなと思っています。
いろいろやりたい、まだどんなことがやりたいかわからない、どこでもいいから病院に入りたい気持ちが先行していました。がっちり決める必要はないし、なんでもやる姿勢も大事ではあります。
ですが、療養メインのところで「認定資格とりたい!」「患者さんの栄養状態を向上させたい!」と言うのも、在院日数短い病院で「患者さんにじっくり向き合って栄養状態の改善を見届けたい」と言うのもてんで見当外れですし、やっぱり領域によっている職員の雰囲気が全然違うので、自分の性格的な部分も考慮できるとより良いかなと思います。
ホームページにあまり情報がない病院もありますが、そういうときは施設基準のページでどんな加算を取っているか、どんな機関指定を受けているかなどを見るとよくわかるのでおすすめです。
あと地域!風土は医療への影響力がものすごいです。医療へのアクセス(車社会か、高齢者の病院への足があるか、病院の密度、近隣の病院の領域)、戸建が多いか、年齢構成、行政のリソースなども見ておくと一気に患者層やニーズの解像度があがります。正直学生のうちからここまで見れませんが、入職してからめっちゃ役立つ。
・栄養管理の意義みたいなの語る
今思うととんでもなく恥ずかしいのですが、私は履歴書の小さい志望動機の欄や、面接で「栄養管理がいかに患者や病院に寄与するか」を一生懸命語ってました。
相手は毎日何時間もそれについて考え、動いている人たちなのだからそんなことは百も承知なのです。
語るならきっかけや惹かれた理由程度にとどめ、どう過ごしてきてどんな引き出しがあるかを、栄養や人と濃く関わる仕事にどう向いているかを絡めつつ話し、自分の人柄を知ってもらうことに重みをつけたらよかったなと思います。
私は委託4社、グループ病院3~4つと、個別に5個くらい受けました。こう見ると少なかったですが、12月までかかりました。コロナで病院目指してた同期の内定時期はあまり分かりませんでしたが、遅い方かもしれないです。
世の21卒の中では遅いです。Twitterに焦りを垂れ流したり、NNT(Nainaitei)垢に気持ちが引っ張られました。*8
でも12月にもなると、向こうも積極的だったりこちらも求人自体が増えて次があるというゆとりが出たので、遅いのも悪いことばかりではなかったかな。
今学生だったらやること
「入職前にやっておくべきことはありますか?」
と訊いたことはありますでしょうか。
そして大抵、
「学校の授業を頑張ってください」
「国試の対策」
「今のうちに色んなことをしておくこと」
とかえってきたことが多いのではないでしょうか。
私も訊いたし、今自分が答えるとすると上みたいな感じになるのですが、その辺はやってる前提として、臨床に出る上で予めスキルを身につけたく訊いてる部分もあるかと思います。
そこで、学生のうちから授業・国試外で臨床栄養に触れられるおすすめのものを3つご紹介します。
①日本病態栄養学会に所属する
1つ目は、日本病態栄養学会への所属です。
私は2年目から入会。普段は特に活動していませんが、過去2回年次学術集会に参加しとても良かったのと、認定資格が取れることから所属しています(今年学会どうしよ……大人は15,000円だよ)。
一般会員は入会費10,000円がかかるのですが、学生会員(非就労)は2,000円で入会でき、年次学術集会(学会)の参加費が無料になります。
特にこの年次学術集会、近年はオンデマンドでも見られるので非常~に勉強やモチベーションの源泉になります。志望の領域を定め、言語化する足がかりにもなるのではないでしょうか。こんなにいいのに誰も教えてくれなかった( ´・ω・`)
年次学術集会は、毎年1月中旬~下旬ごろ京都で開催されることが多いので、間に合う方はぜひ3年生、4年生から入ってみてください。
②日本栄養士会の養成校学生向けメルマガ
こちらも、就活情報、先輩からのアドバイス、栄養士大会への招待、国試関連など様々なコンテンツがあるのでオススメです。
転職活動について
転職は2年目の1月に決意し、2月から動きました。
既卒、入職時期も半年後程度までを目安としていたので募集はまずまずありました。
働きながらの転職だったこと(失業手当が発生しない)、初めてみたら2週間で決まってしまったことから、ハローワークは使用するに至りませんでした。
自分側の希望は、
- 都内、住宅補助しっかりしてる
- 給与が今と同等以上
- できれば年間休日維持(ダメだった)
- 高度急性期〜急性期か、ケアミックス
- 病床数200以上
- 集中治療室かNSTがある
ただ、高度急性期や大病院は作文や大学の成績証明が必要だったり、選考フローが多く応募のハードルがやや高かったです。あとは経験年数3年を条件としているところもあり、それも応募できませんでしたが、現在の業務内容・スキルによっては交渉の余地はありそうです。
私は4院応募し、全て書類〜筆記(適性検査・SPI)までは通過、最終的に1番トントン拍子でご縁があったところに決めました。
夜な夜な応募書類を作成し、早朝にコンビニで印刷や控えをとり、昼休みに郵便局に走ってとバタバタで辛かったですが、終わってみるとたったの2週間の出来事でした。
前職はカレンダー通りの職場なので、長引いた面接の調整に苦戦しそうだった。また業務や人員配置の見直しの過渡期だったので、状況によっては休職や退職後の就活にもなるかなと、社会保険についてもちょこっと調べたりはしてました。
転職で役だっただろうなと感じるところは、NSTの40時間研修を受けていたこと、早番の出勤ができるところにすぐ住めるところだったかなと感じています。
終わりに
栄養管理はしっかりやると医療費の削減*9や健康寿命の延伸に繋がる重要な分野です。ですが、すべての患者にこういった栄養管理を提供できる体制の医療機関は、まだそう多くはありません。
下っ端の見習い管理栄養士目線ですが、こんな感じで栄養に関する診療報酬はまだまだ伸び代がありそうなので、今からしばらくは志望者にとって追い風なんじゃないかな~って思ってます。
現在は早期栄養介入加算や病棟常駐への加算がつき始めてますね。その準備を始めてる病院の話もちらほら聞きます。退職者補充→増員へ変わっている印象です。あんなに落とされてたのに、働き始めてみると人が足りない足りない言っていて驚きました。まあ卒業だけじゃ医療者として使い物にならないのもわかりますが、ちゃんと育つから入れて……。
私もいつか・どこかのためにスキルアップに励もうと思いますので、一緒に頑張りましょう。
例のごとく長く、自分語りになってしまったような気がしますがお役に立てたら嬉しいです。
…いかがでしたか。
*1:当時のことを思い出しながら書いているので、変わっていたらすみません。
*2:優秀な友達はこれでサクッと決めていた
*3:急性期は特にひと枠に20人とか100人とか応募が来ることもザラです。
*4:遅めの教員採用が終わってからは特にね〜。でもみんなずっと励ましてくれたし、一緒にファミレスで国試対策しながら話聞いてくれたし、同じ21卒なのに私の内定にお祝いプレート作ってくれたり。
*5:病院食自体も栄養管理なので
*6:施設側の急な欠員で出向になった話は3人くらい聞きました。
*7:栄養士○ールって言うのでご参考までに。企業自体はいいかもしれないね。
*8:前職で欠員が出た時、面接終わりの上司に言われてハッとした言葉があります。
「いい人でスキルもあったけど、あなたとは合わないと思うのよね。あなたが働きやすい人がいいと思うの」
今まで自分が落とされた時、
「全て自分の落ち度で、自分に魅力がないからなのだ」
「この素晴らしい病院に、自分は見合わなかったのだ。レベルが低いのだ」
とひどく落ち込んでいたのですが、元々いる人との相性を鑑みてのことって結構あるのかもしれないと、過去の自分が供養された気持ちになりました。
それって受ける側には絶対にどうにも出来ないし、そこの風土が良いとも限らない(むしろ合わない方が人間性として優れてることになる場合すらある)ので、採用側が先にそれに気づいてくれたと思うと不採用の意味合いも大分変わってきますよね。能力の善し悪しだけで不採用になるわけじゃない。考えれば当たり前ですが、腑に落ちたのはこの時だったなと思います。
*9:ただ一旦は削減されても、超長期的には長生きにより必然的にかかる医療費により増加に転じるそうです。笑 難しいね。