ブログ開設して間もないけど早くも飽き性を発揮しています。
これ書いてる時も、2回も記事データ吹き飛んで
「なんでここまでして書いてるんだろう?」
と思いました。
せめて数個記事を書きたいので不安を紛らわすのと勉強ついでに
思ったより長くなったので要約すると、
食中毒になりたくなければ生の鶏肉は食べるなよ
という話です。
調べれば調べるほど書くこと多くなって手が付けられなくなってきた。
食品衛生学び始めて、
- 肉は汚い
- 野菜も割と汚い
- 手とかほんと汚い
- アルコール消毒は気休め(しないよりは全然いい)
- 加熱最強
- 次亜塩素酸最強
という感覚が身につきました。
授業で肉の液をパウチで培養したことがあるのですが、ほんとに汚かった
牛→豚→鶏の順に菌の量が多くなっていきました。
おうちで肉を焼く時はたとえ好きでもミディアムとかレアとかしない方がいいと思います。
黙ってウェルダン。
体調が優れない時は特に。
散々怖いこと書きますが、加熱さえきちんとすれば比較的防ぎやすい食中毒なので誤解しないでください。
生食を批判したい訳ではなくて、日本の大切な食文化なので、生食には多かれ少なかれリスクがあるよって理解した上で楽しむ分にはいいと思います。
またこの記事は自分用に複数のサイトをまとめたものなので 、わかりやすく、正しく知りたい場合は参考文献のサイトを見てください。東京都福祉保健局のものが分かりやすいです。
www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp
ということで、カンピロバクターについてまとめます。
先日行ったご飯屋さんで
「ささみとアボカドのカルパッチョ」を頼んだら、出てきたのがアボカドののった鳥のタタキ
カルパッチョって時点で気づくべきだったし、食べなきゃ良かった話なんだけど、疲れてて頭がちゃんと働いてなかったのとカウンター席で目の前にお店の人がいて丸々残すなんてとてもじゃないけどできなかったので食べました。
普段、「生の鶏肉出す店の気がしれない」とか「潰れたいのか」とか言ってたのに自分から食べてるから世話ないですね。
とても美味しかったのがせめてもの救い
あの店の料理全部美味しい。発症しなかった暁にはまた行こうと思います。
発症したら出るとこ出るからな
とはいえ鶏肉の生食は法律で禁止されている訳では無いので注文した以上自己責任だと思ってください。(でもお店で出してたら安全だと思うよね)
早いとこ全面禁止した方がいい。*1
現在潜伏期1日目(ゆっくり書いてたら5日目になりました)。
早く疑い晴れないかな。
でも、転んでもタダじゃ起き上がらないタチなので自戒と注意喚起も兼ねてカンピロバクターについてまとめようと思います。
ということで
体で覚えるカンピロバクター講座(めっちゃ嫌だ)
めっちゃ嫌だ、かかりたくない…。でもめっちゃ覚えた…。
そもそもなんでこんなに怖がってるかというと、カンピロバクター感染症は100個程度と少ない菌数で感染する上に、しんどくて時に予後が悪い*2食中毒だからです。
今回私と一緒に食べた人は以前2回発症したことがあって死ぬ思いしたらしい。
「この色の鶏肉見ると震える」と言いながら食べてました。なのに食べるんだ〜
普通の食中毒の最小発症菌(ウイルス)数が数万~数十万とかなので、食べた量が少なかったり、二次汚染があっても増殖時間が足りなくて発症菌数に満たなかったりで発症率が下がります。
なので最小発症菌数が少ないほどかかりやすいです。
ちなみに、ノロウイルスやO157は10個とか100個でかかります。怖いね
食あたりで有名な牡蠣の生食も、牡蠣にはノロウイルスがほぼ確実にいるので、ノロウイルスがいるかいないかガチャではなく感染後発症するかしないかガチャになります。
中心温度85℃で90秒以上加熱するとノロウイルスは死滅しますが、カキフライにしたとしてもそこまで加熱すると牡蠣の身がちんちくりんになるので、そうなってない時点で安全とは言い難いです。
カンピロバクターの話に戻ると、カンピロバクターは牛、豚、鳥の腸管内に生息しており、これが捌く時に肉の表面に付着して汚染されます。そして、汚染された肉(その他食品)を食べることで感染します。*3
特に鶏肉での汚染率が高く(4~6割なので基本汚染されてると考えたほうがいい)、生の鶏肉を扱う環境なら包丁、まな板、水道、その他食材も汚染される可能性があります。*4
ですが、カンピロバクターは熱に弱く、通常加熱調理により死にます。また、微好気性菌*5なので、空気に触れていると死にます。
表面についているだけなら。
ここが最悪!カンピロバクター
「空気に触れてたら死ぬなら大丈夫そう」
「タタキなら表面あぶってるし平気じゃない?」
と思いますよね。
ですがヤツらは空気の少ない環境を求めて肉の内部に入り込みます。(最悪その1)
こうなると、中心まで加熱しないと殺せません。表面あぶっただけのタタキはアウトです。
そして、低温環境(冷蔵温度)が好き。(最悪その2)
きちんと冷蔵庫で管理していたとしても安全ではありません。*6
その上、新鮮なほどカンピロバクターも多く生き残っている(空気に触れている時間が短くなるため)。(最悪その3)
すなわち、
「うちの鳥刺しは1度も冷凍してない新鮮な鶏肉を使ってるよ!!」
訳: カンピロバクター元気だよ!!
ということになります。
もうほんとに最悪。新鮮=安全が当てはまらない。
魚と同じ感覚だと危険です。
こういう特徴がある菌に汚染されている可能性があるので、一般に流通している鶏肉は加熱用です。
宮崎県など、鶏肉を生で食べる食文化がある所は厳しく管理しているのでリスクは下がりますが、そうじゃない地域で鳥刺しやタタキを食べる場合は普通に危ないし、家庭内でも生焼けで食べたり、肉切った後のまな板や包丁を洗わずに生のまま食べる野菜とか扱ってそれ食べたら感染します。
いやじゃあもう感染してるじゃんと思いますよね。私もそう思います。
発症ガチャを回しています。
提供したお店が厳しく管理してて、冷凍もしてたらまだ望みはあるけども、二次汚染とか考えるといくら注意してても防ぐのは難しい。
だから、そもそも生で食べないでねって話になるわけです。
出してる店沢山あるけどね。そんなに自信あるのか疑問です。
発症するとどうなるの?
ここまで読んで生食のリスクは何となく伝わったと思いますが、勉強のためにまだまとめるので私の感じてる恐怖をもう少し伝えたいと思います。
- 下痢(水様性)
- 腹痛
- 発熱(38~40℃と高温)
- 頭痛
- 倦怠感
こう見ると軽そうですが、これらの症状が約1週間続く(長い)。
しかもひどい場合は
- 下痢(出血を伴う)
- 吐き気
- 嘔吐
- 筋肉痛
となります。
2度発症経験のある連れは、
「しんどすぎて体が勝手に動く」
と言っていました。怖すぎる。
そして、それらの症状が落ち着いてからまれに、ギランバレー症候群を発症することがあります。
下痢で苦しんだのに合併症まであるの?*8
ギラン-バレー症候群(神経の病気)は、カンピロバクターによる大腸炎の患者約1000人に1人の割合で発生します。体が感染に抵抗するために作った抗体が、ときに神経も攻撃してしまうことで起こります。ギラン-バレー症候群は筋力低下や麻痺を引き起こします。ほとんどの場合は回復しますが、筋力が大きく低下することがあります。呼吸困難をきたし、人工呼吸器の使用が必要になる場合があります。筋力低下は完全に元に戻るとは限りません。ギラン-バレー症候群の最大30%は、カンピロバクター属の細菌による大腸炎が引き金となって発生すると考えられています。
これが怖い。滅多にないこととはいえ怖い。
微生物学のこの授業を受けて以来、
「生の鶏肉は絶対たべない」
と固く誓ったのに、やっぱり自分で痛い目にあわないと食べちゃうんだなと思いました。
ほんとに体で覚えることになるぞ。
カンピロバクターは潜伏期が2~7日と長いのも特徴です。私あと何日恐怖に耐えなきゃいけないんだろう…
ではもし、鳥刺しやタタキを食べてしまったあとの対策はあるのかというと
ないです。
バイトもインターンもあるので、かかったら困る(なくても困る)と思い必死に調べたけどありませんでした。
菌が体の中で増殖する前に便として排出できたらいいと思うのですが、腸壁に付着してたら出てくるとも限らないし、体の中に入られたらどうしようもないみたいです。
そして、なってしまった場合の治療は
耐える。
嵐が過ぎ去るのを待つ。これが基本です。
自然と軽快するので、特別な治療法は特にありません。ひどい時は抗菌薬を飲む場合もあるそうです。
あとは下痢で脱水にならないようにするとかその程度。
やだなぁ。1週間って結構長いし、胃腸症状だからトイレと仲良しになるし、ご飯も食べられないだろうし。
ギランバレー症候群、1000人に1人の1人はどういう人がかかるのかまでは調べられませんでした。
そもそもカンピロバクターは動物の体内では悪さをせず、ヒトの体内で増殖して初めて感染症として胃腸症状などを引き起こすのも、なんでだろう。
原始は肉とか生で食べてただろうから耐性作っといた方が絶対良かっただろうに。
火を使って調理をして食べるっていう人間特有の文明ができてヒトの胃腸にそういう退化が起こったのか、カンピロバクターがヒト病原体に変異したのか、耐性を獲得できなくてお腹壊してバタバタ死んでいったから、加熱調理をするようになっていったのか
ちょっと気になる。
少し話が逸れましたが、書きたいことは大体かけたと思うのでまとめます。
まとめ
- 生の鶏肉はたべない
- 中心までしっかり火を通す(大事!)
- 二次汚染に注意する(まな板、包丁の使い分けなど)
- 不安なら一度冷凍する
などの対策を実施します。これでだいぶ防げるはず。
焼いたつもりで、切ったりかじったらまだピンクだったって時は、いいやって食べないで電子レンジで軽く加熱するといいです。
次に、食べてしまったら、なってしまったら、食べたことを反省しつつ
- 祈る
- 耐える
以上です。頑張りましょう。頑張ります。
授業で他の食中毒と一緒に潜伏期と症状並べてただけだと全く覚えられなかったのでいい機会になりました。
この他にも、ノロウイルスとかウェルシュ菌などの食中毒のリスクは結構身近にあるので、家庭レベル、個人レベルでも気をつけたいなと思いました。
読んで頂きありがとうございました!
【参考文献】
↓ 微生物学やってる人向け
*1:禁止されてない理由としては、頻繁に死者が出ないことや、九州の鳥刺しの食文化が根深いからなどいろいろあるみたいです。
*2:死亡したり後遺症が残る場合があること
*3:そのほかの感染経路としては感染動物との接触、汚染された食品や水での調理など。犬や猫の腸管内にもいます。肛門をなめて綺麗にしてるので、ペットと迂闊にキッスとかしない方がいい。
*4:二次汚染と言います。まな板を肉用、野菜用と分けるのはこのためです。何種類も分けられない場合は開いた牛乳パックをしいたり、都度熱湯消毒をする、切る順番で生ものを最後に切るなど工夫できます
*5:大気より酸素が少ない環境で生育する菌。大気中や、酸素が全くない環境では生育できない
*6:冷凍により汚染率が低下する報告があるので鶏肉の冷凍を義務化している国もあります。(アイスランド、デンマーク、ニュージーランド)
第1回:カンピロバクターによる食中毒|専門家コラム|食品衛生のトータルサイトへようこそ! sanitation|サラヤ株式会社 企業法人向け
*7:実際、潜伏期が長いこともあり胃腸の風邪と勘違いされることが多いので、感染者数や事件数は統計より多くなると思います。
*8:まだほかにもある。その他の合併症:菌血症、反応性関節炎